サファイアウェハーとは、酸化アルミニウム(AI2O3)を使用して製造するウェハーのことです。酸化アルミニウムは、通称「アルミナ」とも呼ばれています。自然界に存在するものは宝石として取引される貴重な鉱石で、サファイアをはじめ、ルビーやコランダムとして算出されています。半導体に使用する酸化アルミニウムは、自然界から採掘される鉱石から不純物をさらに低減させ、人工的に結晶化させて作ります。

サファイアウェハーの特徴は、硬度や透明度などが優れているところ。硬度はダイヤモンドに次ぐモース硬度9を有しており、摩耗への耐性も備えています。透明度は200~7000nmで、紫外~赤外光領域において高い透過率があります。その他、耐腐食性・耐熱性・絶縁性にも優れているのが特色。ほとんどの酸とアルカリには侵されず、2000度までの熱に耐えられる性質を備えているため、様々な製品の製造に使用されています。

高温での高い安定性を持つことから、サファイアウェハーはLED基盤の材料として、特に重宝されています。その普及具合は、ほとんどのLED基盤がサファイアウェハーを使用して製造されるほど。基盤以外にも、レンズや腕時計の窓材、スマートフォンのガラスカバーなどにもサファイアウェハーは使用されています。

また、パワー半導体・半導体製造装置の覗き窓・真空容器窓・レーザー装備・熱電保護板など、サファイアウェハーの用途は多岐に渡ります。電子機器は年々高性能になっており、世の中のあらゆるものがIT化され始めていることから、今後もサファイアウェハーの需要はますます増えていくと予想されます。

サファイアウェハーに使用するサファイアの製造方法は、キロプロス法をはじめベルヌーイ法やHEM法など様々なものがあります。キロプロス法のメリットは、大型のサファイアウェハーを効率よく製造できるところ。品質のよさも安定しており、生産効率に優れているのが特色です。キロプロス法でサファイアを製造する際は、融液の温度を少しずつ低下させ、結晶を形成させます。

ベルヌーイ法は、酸化アルミニウムの粉末を専用の装置で加熱し、液体になったものを結晶化させる方法。HEM法では、真空炉の中央にモリブデンるつぼ・種結晶・サファイア屑を入れ、るつぼ全体を加熱してサファイアの円柱を作っていきます。これらのような多くの製造法の誕生により、近年では大型の酸化アルミニウム結晶を製造する技術が確立。大量生産が可能になったことから、従来よりもサファイアウェハーを安価に製造できるようになりました。