シリコンウェハーとは、半導体の製造に使用する材料の1つです。シリコンウェハーの形は薄い円盤状で、微細な凹凸や粒子などを限界まで除去しており、とても平坦で清潔な見た目をしています。
日常生活を送る中でシリコンウェハーを目にする機会はまずありませんが、PC・スマホのメモリー、ICチップ、車など、あらゆる電子機器の製造に必要不可欠な存在です。弱点は、衝撃に弱いところ。ごくわずかな衝撃が加わるだけでも破損する恐れがあり、耐久性の向上を含めた改良が進められています。
シリコンウェハーは、半導体に必要な回路を書き込み、分離させることができます。1枚のシリコンウェハーから、複数個の半導体を造れるのです。1枚のシリコンウェハーから造れる半導体の数が多ければ多いほど、コストの削減につながるため、現在でもシリコンウェハーの大口径化が進められています。
シリコンウェハーに使用するシリコンは、シリコンのなかでも極めて高純度の「多結晶シリコン」です。この多結晶シリコンは、「珪石(けいせき)」という鉱物を精錬・精製することで作られます。完成した多結晶シリコンは、単結晶化という工程を経て、「単結晶インゴット」へと変化します。単結晶インゴットを円盤状にスライスし、鏡のように磨き上げたらシリコンウェハーの完成です。
単結晶インゴットの製造方法は、大きく分けて2種類あります。1つ目は、チョクラルスキー法(CZ法)です。チョクラルスキー法では、「ルツボ」という容器を1000℃以上の融解シリコンで満たし、「種結晶シリコン棒」を浸して単結晶インゴットを製造します。ルツボ内に浸した種結晶シリコン棒を回転させながら引き上げると、種結晶と同じ原子配列の単結晶インゴットを取り出すことが可能です。
もう1つの方法は、フローティングゾーン法(FZ法)です。1950~60年代にかけて、アメリカのダウ・コーニング社や、ドイツのシーメンス社などが開発を進めていました。フローティングゾーン法の特徴はルツボを使わないところ。シリコンを誘導加熱で溶かし、表面張力で形状を保ちます。高温な部分がルツボをはじめとした他の物質と接触しないぶん、不純物が混ざりにくく、高純度化が容易にできます。
一方で、製法上シリコンウェハーを大径化するのに向いていないのが難点です。フローティングゾーン法で造られたシリコンウェハーは、モーターや照明の制御に必要な「パワー半導体」用として主に使われています。