CMPとは、半導体の表面と裏面を磨き、ウェハー表面を平らにする工程や、配線を製造する工程などで使われる研磨技術のことです。時には、研磨装置そのものを指す場合もあります。1990年代前半に起こった半導体の微細化の流れに合わせて高い研磨技術を求める声が上がり、半導体の製造において研磨装置の重要性が注目されるようになりました。英語の「chemical mechanical polishing」の頭文字を取って「CMP」と呼ばれており、日本語に直すと「化学機械研磨」「化学的機械的研磨」などと表記できます。

半導体の製造において、研磨の加工を施す機会は大きく3回あります。1回目は、前工程で未加工のウェハーを磨くときです。ウェハー工場でシリコンインゴットからウェハーを切り出し、凹凸や汚れをなくすために行います。ウェハー工場で研磨したウェハーは厳重に梱包し、次の工場へと出荷されます。

2回目の研磨を施すのは、半導体工場でウェハーに回路を形成するときです。ウェハー工場から出荷されたウェハーは、半導体工場でさまざまな加工が施されます。多くの構造をウェハーに搭載できるよう1つ構造を重ねたらウェハーを少し研磨し、次の構造を重ねていくのです。1回目と2回目は半導体製造において前工程に分類され、近年研磨装置の研究開発が盛んに行われている分野でもあります。

3回目は、後工程の工場で行われる研磨作業です。ウェハーをチップの形に切り出す前に、最後の仕上げでウェハーの裏面を研磨して全体の厚みを薄くします。これにより、集積回路の積み重ねとパッケージングがしやすくなるのです。3回目の研磨の工程では、研磨装置のなかでも「ラップ研磨装置(別名:ラップ装置)」というものが使われます。

ウェハーを研磨するときは、CMP装置にウェハーの表面を下側に置き、研磨パッドに押し付けて行います。研磨パッドの上には研磨粒子と薬物の混合物「スラリー」が流れており、ウェハーの表面とスラリーを擦り合わせることで研磨するのです。ウェハーの裏面は「プラテン」という装置で吸着し、研磨中に外れないようにしています。現在は研磨パッドとプラテンが互いに水平に逆方向へ回転する「ロータリー式」の研磨装置が主流です。 また、CMPの後はウェハーを洗浄しなければなりません。スラリーが含んでいる研磨粒子は時間が経つと固着してしまうため、できるだけ早く洗浄して取り除かなければならないのです。そこで、CMPの機能と洗浄能力が一体化した装置を導入し、一度に研磨と洗浄を終わらせる工場もあります。