システムLSIとは、種類や機能が異なる集積回路を1つにまとめ、システムとして機能するようにしたもののことです。システムLSIの登場により、従来の電子機器の製造のように、別個のチップを用意して基盤に乗せて金属線で連結する必要がなくなったため、製品の小型化や、駆動時間の長時間化が可能になりました。技術的な面で高度なものが求められる分、コストは高くなりやすい側面はありますが、全てのチップを個別で用意するよりは全体的なコストがかからないため、急速に普及しています。システムLSIには厳密な定義や規定がないため、会社・企業ごとに「システムLSI」と呼ぶものには特色があることを留意しておきましょう。

システムLSIの製造手順は、シリコンウェハーの購入と、購入したシリコンウェハーの洗浄から始まります。次に絶縁膜などを作るための成膜工程を挟み、半導体領域を創るために不純物の拡散を行います。ここまでは、前工程です。後工程では、組み立てとテストを行います。全工程のなかで特に大変なのは、最新のシステムLSIをシリコン上に実現する手順です。従来使用していたArF露光装置では限界を迎えたため、ArF液浸露光装置やダブルパターニング技術といった技術を用います。

また、システムLSIでは素子数が100万個を超えることもあるため、配線が大変なことに。今までの単純な配線では処理速度の低下を招くため、配線層数は5~10層以上と複雑さが増しています。加えて、配線抵抗を抑えるため、配線金属はアルミだけでなく銅も使われるようになりました。

システムLSIを使用した電気製品の一例として、デジタルカメラや携帯電話などが挙げられます。デジタルカメラの場合、撮影した風景をいかに美しく画像として再現できるかが重要です。デジタルカメラに使用するシステムLSIの1つに、画像データ処理LSIがあります。画像データ処理LSIはセンサーからのアナログ信号をデジタル信号に変換し、実物に近い色づくり・設定内容を反映した色づくりを行います。従来は数枚のチップで画像データ処理、画像再生、カメラ制御などを行っていましたが、現在は1チップ化が進められています。

携帯電話には、ベースバンドLSIをはじめ、様々なパーツが使われています。ベースバンドLSIは、アンテナから信号を受信し、音声をスピーカーから鳴らしたり、画像を液晶に表示したりする働きがあるシステムLSIです。現在普及しているスマートフォンは、電話だけでなく高画素カメラの搭載、タッチパネル、GPS、動画配信などの多くの機能が求められるようになりました。複数のチップセットが必要なのに対し、電池の持続時間などが商品の差別化に繋がるため、低消費電力化や小型化・薄型化が課題になっています。