レジストとは、半導体の製造に使用する、樹脂、感光材、添加剤、溶剤を主成分とする混合物のことです。レジストは光に反応する性質があるのが特徴で、半導体の製造の際はフォトマスクで露光・現像し、半導体の表面に画像層を形成するために使われています。レジストを製造するときは、綿密な計算を行ったうえで、樹脂や感光材、非常に強い酸性を有する有機酸などを組み合わせます。最先端の半導体のなかにも、PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)もしくはその塩を感光材とするレジストを用いたものがあります。レジストの製造に使える感光材は、現時点ではPFOSとその酸のみ。他の物質を代替えで使用しても、レジストは作れないのが現状です。

半導体におけるレジストの役割の1つに、半導体の保護が挙げられます。レジストには、光を反射することで化学構造が変化し、薬品への耐性が発現したり、現像液に解けたりする性質ができます。半導体製造の際はこの性質を利用し、シリコンウェハー上に塗布したレジストに対して特定のパターンを描いたうえで、光を当てます。光を照射したシリコンウェハーを現像液で洗浄すると、レジストで保護された部分と保護されていない部分ができます。高集積化と小型化が進む半導体において、半導体を保護するレジストは欠かせない存在です。

レジストは、保護膜の形成方法によってフォトレジストとスクリーン印刷レジストの2種類に分けられます。フォトレジストは、光が当たった部分だけが変化するレジストのこと。繊細なパターンにも対応できるのが特色で、光が当たるとインクが溶ける「ポジ型」と、光に当たるとインクが固まる「ネガ型」があります。半導体の製造でもよく使われるため、フォトレジストのことをレジストと呼ぶ場合もあります。スクリーン印刷レジストは、スクリーン印刷でパターニングするレジストのこと。必要な部分にのみ直接レジストを塗布できるため、大面積のシリコンウェハーや重ね塗りに対応しやすいのが特徴です。

ほかにも、レジストは用途によって、エッチングレジスト、めっきレジスト、ソルダーレジストの3種類に分けることも可能。エッチングレジストは、エッチング時にシリコンウェハーを部分的に保護するために使用します。めっきレジストも、部分的な保護で使うレジスト。レジストがない部分にめっきを施せるのが特徴で、金属を自由にパターニングできます。ソルダーレジストは、はんだが基盤に接触しないよう、回路パターンを保護する役割を担っています。プリント基板によく見られる、緑色の樹脂がソルダーレジストです。