DRAM(ディーラム)とは、電源を供給し続けることで記憶している情報を保持できる揮発性メモリのひとつのことです。「Dynamic Random Access Memory」の頭文字を取った言葉で、コンピューターをはじめとした精密機器に取り入れられています。記憶できる容量が大きく、テレビやデジカメといった情報機器にもよく使われているのが特徴です。

DRAMをコンピューター・テレビ・デジカメといった膨大な情報を蓄える機材に使う理由は、単純な構造で価格を抑えやすいから。DRAMのメモリセル(最小の回路構成)は、トランジスタ1個とキャパシタ(蓄電池・コンデンサ)1個から成り立っています。数ある回路構成のなかでもDRAMは特にシンプルで、コストの削減と高集積化を実現できるのです。

DRAMの難点は、リフレッシュ(記憶保持動作)のため使っていないときも常に電力を消費するところ。DRAMは、チップの中に形成された小さなキャパシタに電荷を貯めることで情報を記憶しています。電荷は放置していると少しずつ放出されるため、電荷の放出に伴い情報も失うことになります。常に電荷を補充し、記憶している情報を保持するために、24時間365日の電力供給が求められるのです。

DRAMは、内部のキャパシタとトランジスタを合わせた記憶素子を使って作動します。データの読み取りは、記憶素子に電荷が蓄えられていない状態を「0」、蓄えられている状態を「1」として行うのが基本です。情報を書き込む、すなわち記憶素子に電荷を蓄える際は、ワード線とビット線の電圧を上げ、トランジスタを通してキャパシタを充電し、DRAMの状態を「1」にします。逆にデータを消す場合は、ビット線の電圧を0Vにし、トランジスタを通してキャパシタに蓄えてある電荷を放出し、「0」の状態にします。

DRAMは、1970年にアメリカのインテルが世界初のDRAM「1103」を発売して以降、様々な種類が登場してきました。21世紀以降主流になっているのは、SDRAM(synchronous DRAM)とLPDRAM(Low Power DRAM)です。

SDRAMとは、通常よりも入出力を高速でできるDRAMのこと。行アドレスの内容を、同期転送で素早く入出力機構を搭載しているのが特徴です。もともとDRAMの入出力では100ナノ秒かかっていたものが、SDRAMの登場により2.5ナノ秒前後にまで高速化されました。

LPDRAMは、通常のSDRAMと比べると動作時・待機時ともに電力の消費量を大幅に抑えているDRAMです。消費電力の削減に適した機能を持っており、電源電圧が1.2Vと低くても電子機器を作動させられます。薄型のコンピューターデバイスや携帯電話など、低消費電力や省スペースといった現代のニーズを叶えるDRAMとしても期待されています。