EDAとは、半導体や電子機器の設計作業を自動化すること、もしくは自動化のツールやソフトウェアのことです。「Electronic Design Automation」の頭文字を取った言葉で、日本語だと「電子設計自動化」と訳せます。CAD(コンピュータ支援設計)やCAE(コンピュータ支援エンジニアリング)を包含した用語として使われることもあります。

EDAでできることは、半導体や電子機器等の設計作業です。具体的には、システム設計・回路設計・LSIレイアウト設計・寄生要素抽出・熱設計とシミュレーションなど、さまざまなことができます。テレビやPCの裏蓋を開けると、たくさんの電子部品が組み込まれた緑色の基盤が入っています。大小さまざまな電子部品の組み合わせによって電子機器は動いており、この組み合わせを設計し、正常に動くかテストする役割を担っているのがEDAなのです。

EDAを使わなくても、手作業で図面を引き、テスト基盤で検証を行うことはできます。しかし現在は、市場の需要に応え、企業の競争力を維持するためにEDAの存在はなくてはならないものになっています。近年の市場の主な需要は、多機能・高性能・小型・軽量・低価格・低消費電力などです。企業としてはいち早く需要を満たす製品を発表しなければならないため、基板の設計とテストをどれだけ早く完了させるかが重要視されます。

すべて人の手で行うよりも、EDAを使ってコンピューター上で実験すれば、テスト回数を減らして設計期間を短縮し、早期に新商品を発表できるのです。また、過去の設計を再利用しやすいのもEDAの強み。企業の生き残りのためにも、EDAの存在は重要視されています。

EDAの歴史は、1970年代まで遡ります。諸説ありますが、カリフォルニア大学バークレー校で開発されたSPICEが最初ではないかと考えられています。その後ハードウェア記述言語、半導体レイアウト設計ツール、回路図入力ツールなどが相次いで登場。1990年代後半よりさらに抽象度の高い記述を可能にする言語の開発が進められ、EDAでできることが大幅に増加しました。 企業の生存戦略に重要な役割を果たすEDAですが、課題もあります。それは、EDAツールの価格とツールを使いこなせるエンジニアの確保です。EDAは、ツールによっては1ライセンスあたり1,000万円を超えるものもあります。かなり大きな金額が動くためツールの選定には慎重になりますし、払ったお金を無駄にしないよう、人材の確保と実用化も求められます。運用時の課題を解決するには、EDAベンダや販売店などと綿密に相談してから導入することが大切です。