LSIとは、トランジスタ、ダイオード、受動素子などを集積させて、複雑な機能を実現できる電子回路部品のことです。「大規模集積回路」を意味する、「Large Scale Integration」の頭文字を取っています。LSIの登場と進化により、小型化、軽量化、高性能化、低消費電力化、コストダウンなどが可能になりました。身近な電子機器だと、LSIはパソコンのマイクロプロセッサやメモリ、デジタルカメラのフラッシュメモリ、DVDのMPEG等に使われています。

現在、LSIの製造で使用される半導体材料の主流はシリコン基板です。シリコン基板は、表面を鏡状に磨き上げ、不純物を最大限排除した、超平坦・超清浄な半導体の材料のこと。シリコン基板で作られたLSIは、「シリコンLIS」と呼ばれます。シリコンLSI以外に、「化合物半導体」と呼ばれるLSIもあります。化合物半導体は、Ⅱ族のガリウム、インジウム、アルミニウム、Ⅴ族のヒ素やリンなど、2種類以上の元素との化合物からできているのが特色です。

LSIは、半導体素子トランジスタの動作原理をもとに、バイポーラ型とMOS型に分けられます。バイポーラ型の特徴は高速動作ができ、負荷駆動能力に優れているところ。逆に、消費電力が大きいのがデメリットです。MOS型は、断面が金属、酸化膜、半導体の3層構造になっているのが特徴。バイポーラ型と対比して、「ユニポーラ型」と呼ぶこともあります。

LSIは、電子機器に搭載する機能をもとに、メモリ、マイコン、ASIC、システムLSIの4種類に分類できます。メモリは、情報を記憶するLSIのこと。細分化すると、電源を切ると情報も消える「揮発性タイプメモリRAM」と、電源を切っても情報が保存される「不揮発性タイプROM」に分けられます。

マイコンは、大型コンピューターやパソコンの心臓部に使われるLSIのこと。ASICは、専用電子機器・システムに搭載するためのLSIの総称です。ユーザーを特定するか否かで、さらにUSICとASSOに分けられます。

システムLSIは、メモリ、マイコン、ASICなど複数のLSIでできたシステムをワンチップに収めた大規模LSIのことです。システムLSIに搭載できる素子数が増加すると、従来は別個のLSIでシステム構築をしていた機能を1つにまとめられるため、電子機器の小型化や機能の向上などの効果が期待されます。

LSIは信号処理に方法によっても2種類に大別され、メモリ、マイコン、ASIC、システムLSIなどのデジタル信号を受信する「デジタルLSI」と、TV放送の受信等が可能な「アナログLSI」があります。現在のLSIの大半を占めているのはデジタルLSIで、今後のデジタル化の促進により、需要の拡大が予想されます。